最高裁判所第三小法廷 昭和44年(あ)542号 判決 1969年7月01日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人長野国助、同稲本錠之助、同原玉重、同関根俊太郎、同田中登、同石原輝の上告趣意第一点は、判例違反を主張するが、所論引用の昭和三五年(あ)第一一七三号同三六年三月一七日第二小法廷判決(集一五巻三号五二七頁)は、本件と事案を異にして適切でないから、右判例違反の論旨はその前提を欠き、また、原判決は、所論引用の昭和三六年(あ)第一六七五号同年一一月一〇日第二小法廷判決(集一五巻一〇号一七〇六頁)となんら相反する判断をしているものと認められないから、右判例違反の論旨は理由がない。
同第二点は、単なる法令違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない(本件で被告人らが頒布した「長野高一個人演説会場」と題して同候補者の個人演説会の日程、演説会会場の場所等を記載した文書、「長野高一選挙事務所の御案内」と題して同候補者の選挙事務所の住所、電話番号、案内図を記載した文書および「長野高一政見放送のお知らせ」と題して、同候補者の政見放送の放送局名、放送日時等を記載した文書が、いずれも、公職選挙法一四二条にいう選挙運動のために使用する文書にあたるとした原判断は相当である。)。
同第三点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
よって、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 下村三郎 裁判官 田中二郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美 裁判官 関根小郷)